ikkou33’s diary

還暦を越えて( ´Д`)y━・~~

何が幸せであるか?

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作家の保坂和志氏が、好きです。彼の考え方、彼の芸術観、彼の小説観は、いつも感心させられます。小説は、読んでいる時にしかない。読んでいる間に、読み手の中にどれだけエモーショナルな感情を湧き上がらせるか。突き動かすものが多ければ多いほど、その作品は読み手にとって、有意義な作品なのだと述べいます。読書とは、作者と読み手とが一緒に作る芸術空間の謂いなのだ。どんな傑作でも、それを受容する力がなければ、無意味な作業となるだろう。傑作ほど、こちらの力を試される作品は、ない。

その保坂さんが、キリスト教についてのエッセイを書いておられた。以下に引用いたします。⤵︎

先日、好きな作家である保坂和志氏が

新教出版社の福音と世界の10月号に、エッセイを寄稿しているのを読みました。保坂さんはクリスチャンではありません。そのエッセイを引用します。

「人が祈りや善行をなしたからといってその故に、祈りも苦行もなさない場合よりもその人に対して神がより慈しみ深く優しくなり給うことは決してないのである。」

  これはエックハルトの説教集の一節だ。私は全体の文脈を理解していないのかもしれないが、エックハルトの本でひんぱんに出会うこの考えに私は信仰のリアリティを感じる。

  報酬の有る無しが問題なのではない。信仰を持っていること、祈りができること、それ自体が幸せであり恩恵なのだーこれは真に芸術に関わる人ならわかるはずだ。社会的な名声を得ることが目的ではない。芸術という行為には到達点はなく、祈りと同じように、生涯を通じてそれをしつづけられることこそが、芸術家に与えられた恩恵なのだ。